2022年11月2日の夜、富士フイルムから、“ヤバい”ミラーレス一眼が発表されたのである。あまりにヤバそうなので、急いでお借りして、急いで猫を撮ってきたのが今回の内容。その名は「X-T5」。
猫撮りに向いてるカメラの条件って人それぞれなのだろうけど、私の場合、カメラが良きに計らってくれるところはカメラにお任せして、タイミングや構図、猫との対話に集中したいなと思ってるわけである。猫というモノじゃなくて、猫という生き物を撮らせていただくのだから。
例えば、こんな感じ。
1:賢くて正確な猫検出AFが付いていること
2:背面モニタがチルト式であること
3:できるだけコンパクトで軽いこと
だが、これがなかなか簡単そうで難しい。多くのミラーレス一眼の背面モニタはチルト式をやめ、バリアングル式が主流になってしまったからだ。私が愛用してるカメラの一つ、X-T4もそうだ。そもそも、X-T2のチルト式モニタが気に入って買ったのに、X-T4でバリアングルになっちゃったとか、なんなんだよ。だがしかし、X-T5でチルト式に戻ったのである。素晴らしい。
チルト式の何がいいか。さっと低い位置で撮ろうとしたとき、ワンアクションでぱっとモニタを開ける、モニタの中心とレンズの中心がほぼ一致しているので構図を決めやすい、のである。さっと猫目線アングルになれるのがいいのだ。
そして撮ったのが、冒頭写真。坂をちょっと下ったところに猫がいたので、地面すれすれで撮るとこんな写真になるのである。どんな場所で撮ったのかわかりやすいよう、別の位置からちょっと引いて撮ったのがこちら。
猫検出AFは、昨今のトレンドなので続々と搭載されていて、もはや当たり前の機能になったといって過言じゃない。ディープラーニングを使った賢いAFは必須だ。X-T5も当然搭載。柵の向こうに猫がいても、瞳を見つけたら、ちゃんとそこに合わせてくれる。
瞳が見えなくても、顔や後ろ頭や全身で見つけてくれる(こともある)。さすがに、後ろ頭ともなると必ず検出ってわけにはいかないけど、次の写真なんかよく見ると、猫の身体でも背中でもなく、頭にピントが合ってるのだ。
後ろ頭の写真だけではアレなので、顔が見えてるヤツもどうぞ。
で、3つめの条件だけど、なんと、X-T5は前モデルのX-T4より少し小さく軽くなったのである。これはありがたい。そのうえで、携帯性のいいズームレンズも欲しいところだが、富士フイルムの「XF 70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR」(名前が長い)が、意外に軽くてコンパクトなのである。
もっとすごい望遠ズームもあるけど、重さが1キロを超えたりして「よっこらしょ」とつい言っちゃうのだが、この70-300mmなら600グラム弱なので、X-T5と合わせると、コンパクトな”お手軽手持ち望遠ズームセット”が出来上がる。
で、そろそろ帰ろうかと立ち上がって振り返ると、道路をとことこと走って行くやつがいる。さっきはいなかった猫だ。どうやら、私がほかの猫にレンズを向けているとき、好奇心に負けてそっと近づいてきてたらしい。そして、私が振り返って目が合ったら、びっくりして逃げてったのだ。
やっぱ猫はおもしろい。その猫は、自分のおうち(かどうかは知らないけど、すぐ近くの民家)の塀の中に逃げ込んだわけで、去る猫は追わず……の精神でほっとこうと思ったら、塀の後ろに隠れてこっちをじっと見てるではないか。
それも、よく見ると2匹。怖いんだけど気になってしょうがないらしい。そんなワクワクドキドキしてる猫の好奇心顔ってのも、すごく愛らしくていいのであった。
秋になり、猫もちょこちょこと顔を出す季節。
今回は、カメラが届いて急いで撮ったのでアレだったけど、「猫検出AF」「チルト式モニタ」「コンパクトボディ」と三拍子そろったX-T5は、なかなかヤバいってのはわかってもらえたかと思う。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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